※この物語は事実を元にしたフィクションです


2011年 ヤクルトスワローズ セントラルリーグ優勝おめでとう!!!

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~あらすじ~

「高田、やめちまえ!」

 2010年5月、ヤクルト・高田繁監督は暴言に倒れた。

 この事態を重く見たNPBは2010年シーズンの打ち切りを決断。そして、2010年の交流戦明けをシーズン開幕とし、2011年7月まで144試合を戦う異例の「2010-2011年シーズン」を行うことを発表した。

 高田監督を失ったヤクルトスワローズは、突然の事態に対しヘッドコーチであった小川淳司を新監督として任命。責任を感じていた淡口打撃コーチの慰留に加え、新たに伊勢孝夫を打撃コーチとして招聘するなど新組閣を発表、態勢を整える。米野智人山岸穣、鎌田裕哉⇔渡邉恒樹などのトレードに加え、助っ人・ホワイトセルなども加入した新生小川スワローズは、未曽有のシーズンに立ち向かうことなった。

 

シーズン経過

2010年6月

6勝4敗 勝率.600(月間6勝4敗)

 シーズン開幕戦のマツダスタジアムでの広島第1戦は雨で順延。19日の2戦目が事実上の開幕戦となった。開幕投手・石川は5回5失点の乱調。打線も広島先発・前田健太に封じ込まれ5-1で敗戦した。一方で唯一の得点を畠山のホームランで挙げるなど新戦力の芽吹きも感じられた。初勝利は20日。先発・由規が7回2失点の好投。打線は4点を援護しこれを松岡-林昌勇のリレーで逃げ切る。6月26日には新助っ人・ホワイトセルに1号が飛び出すなど打線に光も。投打がかみ合ったヤクルトスワローズは6勝4敗というまずまずの滑り出しを見せる。

 

2010年7月

17勝12敗 勝率.586(月間11勝8敗)

 開幕の勢いそのままに、月の半ばには6連勝をするなど順調に貯金を重ねていく。投手陣では終盤を増渕→松岡→イムチャンヨンと繋ぐリレーを確立。勝ちパターンが固まったことにより防御面はより強固なものとなった。打線も青木宣親が史上最速での通算1000本を達成するなど開幕から好調。期待され続けた大砲・畠山は、7月10日に安藤から満塁弾を放つと一気に覚醒の感。飯原・ホワイトセル・畠山でクリンナップの形が整い、得点が期待できるように。これでシーズンの貯金は6となった。

 

2010年8月

35勝20敗 勝率.636(月間18勝8敗)

 2009年は夏場に失速したが、それがウソのように好調の月となった。6,7,8日の横浜3連戦では全試合で3ケタ得点、3試合での合計安打数記録を更新するなど打線が爆発。10連勝も記録した。投手陣では特に由規が5日の試合、5勝目をプロ入り初完封で飾るなど安定した投球で一気にエース格へ成長。石川・館山・村中らとともに安定した先発陣を構成する。

 

2010年9・10月

50勝31敗2分 勝率.617(月間15勝11敗2分)

先月の反動か月頭にやや負けが込むなど、9月は勝率5割と少し停滞を見せる。しかし10月は4勝1敗としっかり貯金を確保。これにて2010年の試合は全試合消化。17の貯金をもって首位で前半戦を終え、2011年の戦いへ挑むことになる。投手陣ではエース石川が11勝1敗で前半戦を折り返すなど好調。由規も前半戦だけで10勝を挙げる。

 

シーズン途中の補強として、自由契約であった宮出、浜中、そして新外国人としてウラディミール・バレンティンを打線強化のため獲得。異例のシーズン途中のドラフトでは、山田哲人など支配下では6選手を獲得した。

また、投手陣の配置転換として先発の一角だったバーネットをリリーフに回し、逆に増渕を先発にするなどテコ入れを行った。

 

2011年4月

59勝36敗4分 勝率.621(月間9勝5敗2分)

後半戦開幕3連敗を喫するも、そこから引き分けをひとつ挟み巻き返しの9連勝。後半戦を好スタートする。新戦力・バレンティンは、後半戦に入って突如調子を落とした飯原の穴を補って余りある活躍で、4月だけで6ホームランを放つなどシーズン途中の加入ながら一気に打線の核となる。主砲・畠山も、横浜スタジアムでの2打席連発など月間6ホームランを放ち、4番に定着。後半戦に突如導入された「飛ばない統一球」をものともしない打線の活発さだった。宮本も打率.400を記録するなど40歳で月間MVPを獲得するなどまだまだ衰えを感じさせない。シーズン途中の先発転向となった増渕はいきなり8回1安打無失点と結果を残し、バーネットも中継ぎで安定感を増すなど配置転換も功を奏した。

 

2011年5月

68勝45敗6分 勝率.601(月間9勝9敗2分)

チームはやや停滞気味だったが、新主砲・バレンティンの勢いが止まらない。月間7本のホームランをたたき込んで来日初の月間MVP を獲得。バレンティンが打てば今度はホワイトセルも打ち、助っ人外国人二人でアーチを量産した。4月は畠山を起用するためにベンチを温めることが多かったホワイトセルだが、畠山をレフトに回すことで起用できるようになったのは大きい。この月はこの二人しかホームランをが出なかったのは内緒だ。今月から始まった交流戦では5連敗を喫するなど、パリーグ相手の戦いには不安も。

 

2011年6月

78勝51敗9分 勝率.604(月間10勝6敗3分)

先月の不調を乗り越え、月間で4つの貯金を作ることが出来た。期待の左腕・赤川の今シーズン初先発やシーズン途中のドラフトで指名したルーキー・七條祐樹がデビュー戦で巨人戦を7回無失点に抑えるなど、投手陣に続々と新戦力が。また、2011年に入ってからの右のエース・館山の安定感はすさまじく、特に6月の月間防御率は1.00だった。2001年以来、10年ぶりの優勝は目前に!

 

2011年7月

83勝52敗9分 勝率.614(月間5勝1敗)

ヤクルトスワローズ セントラルリーグ優勝おめでとう!!!

最終的に貯金を31まで伸ばし、後半戦から首位を明け渡すことなくVへと突っ切った。本当におめでとう!ナインがマウンドに集まり、もみくちゃにされるイムチャンヨン!真っ先に抱き付いた相川亮二!!10年ぶりの歓喜の瞬間に涙する宮本慎也!!バレンティンも笑ってるぞ!!!小川監督喜びの胴上げ!!本当にありがとう!強すぎてたまりません!勝った勝ったばく進Vロード!!!!

 

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スーツで喜びの顔を見せるV戦士たち




 

2010-2011年度リーグ成績

1位ヤクルト .614(83-52-9) 優勝

2位中日 .581(82-59-3) 4.0G差

3位阪神 .517(73-68-3) 13.0G差

4位巨人 .489(68-71-5) 17.0G差

5位広島 .410(57-82-5) 28.0G差

6位横浜 .340(47-91-6) 37.5G差



総評

10年ぶりの優勝を果たしたヤクルトスワローズは終始投打がかみ合っていた。特に先発投手陣は出色の出来で、石川16勝、館山16勝、由規15勝と驚異の15勝トリオが成立。3人で計47勝と荒稼ぎした。救援陣もイムチャンヨンが例年通りの安定を見せ、さらにシーズン途中のバーネットの中継ぎ転向がズバリだった。これにより増渕を先発に回すことに成功し、投手の層が一気に厚くなった。打線は打率.362を記録したリードオフマン青木宣親が光る。これを二番田中浩康で得点圏へ繋ぎ、今季大ブレークしたホワイトセル・畠山に繋ぐ得点パターンが確立。そして、やや長打力不足に見えた中でのシーズン途中のバレンティンの補強が的確だった。最終盤でやや失速したものの後半戦だけで17本塁打は見事。前半戦は中日とのデッドヒートだったが、2011年に入り得点力不足から失速した中日を尻目にさらに加速。最後は4ゲーム差をつけて振り切った。

 

主なメンバーの成績

青木宣親 .362(587-213) 9本 54打点

田中浩康  .276(573-142) 2本 53打点

ホワイトセル .296(394-117) 24本 75打点

畠山和洋 .304(430-131) 24本 91打点

相川亮二 .260(456-119) 6本 57打点

宮本慎也 .287(501-144) 3本 42打点

バレンティン .264(212-56) 17本 34打点

川端慎吾 .295(311-92) 1本 33打点

 

石川雅規 2.88 16勝5敗 196.2回 124K

館山昌平 1.68 16勝3敗 176.1回 141K

由規 2.93 15勝7敗 172回 162K

村中恭兵 3.77 7勝5敗 107.1回 100K

 

 

ネタばらし

 トロオドンさん主催怪文書アドベントカレンダーの12月3日の記事として作成しました。

 どういう記事か改めて説明すると、ヤクルトスワローズの2010年の後半戦と2011年の前半戦がめちゃくちゃ調子が良かったので、実際の成績をもとに合わせて1シーズンにするとどうなるのか?という妄想を吐き出したものです。

 史実のヤクルトは2010年は4位、2011年は最終盤まで首位キープしての2位で、優勝には手は届きませんでした。

 

 以下雑多な感想。

 記事を作成する前は、このやり方だと由規あたりがすごい成績になるんじゃないか?と思ってワクワクしてたけど輪をかけて石川と館山が凄かった。石川あたり全盛期でも10勝10敗のイメージがあったけど、こうしてみるとやはりエース。凄いピッチャーだったと改めて思う。

 

 この期間を抜き出したらヤクルトが優勝間違いなし!と思って見切り発車で記事作成に取り掛かったが、調べてみると想像以上に中日が肉薄していて、企画が破綻するんじゃないかと焦った。特に2010年の後半戦はヤクルトに匹敵する猛烈なペースで勝っている。この頃の中日の恐ろしさが分かる。

 

 ホワイトセルの成績を調べるのは楽しかった。ヤクルトと同じように2010の後半戦と2011の前半戦に活躍した選手だったので。年度別成績でみるとパッとしない外国人だったように感じるけど、こうしてみるとやはりチームに貢献した名選手だったと思う。同様に畠山も、4番を任せるにふさわしい成績になったのが嬉しい。

 

 ヤクルトスワローズを追い始めてけっこう経つけど、未だにこの時期が一番強かったんじゃないかと思います。おれの青春は青木と相川とイムチャンヨンで出来ています。それだけに優勝できなかったのがめちゃくちゃ悔しかった。

 これから4年後の2015年にヤクルトは本当に優勝し、多くの選手が報われることになったのは良かった。そのときメジャーリーグに挑戦してい不在だった青木も、今年2021年の優勝メンバーになれたのは本当にうれしい。おめでとう。

 

 でも2010-2011ヤクルトも日本シリーズは勝てなかったんじゃないかなと思う。2021年ヤクルト、日本シリーズ制覇で日本一、心からおめでとう。