食べてもらいてえなあ。
そりゃあおれだってめっちゃくちゃ上手い絵を描いて、あの人の腕食べたいとか言われてみたいよ。
みんなどこを一体食べたいんだろうな。絵を描くのは腕だけど、どう描くか考えるのは頭だからなあ。頭だけカリッといかれるのかしら。『PLUTO』のエプシロンみたいに。
どうやって食べられるのかも問題だなあ。一度麻酔をかけて、特定の部位だけ切り取って調理するのかしら。
むかし、自分のおちんちんを切り取って調理してみんなに食べさせた画家がいたけど、ああいう感じかなあ。(話がそれるけどあれは見た目に反してすごく硬いらしい。とくに玉が)
生きたままバリバリとおいしく食べてもらってもいいけど、おれがちょっと大変そうだなあ。要相談です。
やっぱり丸呑みがいいよ。絵がうまくなりたいおっきなドラゴンに、おれのことをひと思いにごくんと呑んでもらいたい。おれもおっきいドラゴン一部になりてえよ。
おれが消化されたあとってどうなるんだろうな。その子のエネルギーになるのか。散り散りになったおれの細胞がその子のどこかに配属されるんだろうなあ。
大きなドラゴンの世界では、絵がうまくなりたいドラゴン向けに神絵描きをカプセルに閉じ込めたサプリメントみたいなのがあるんだろうなあ。
半透明のカプセルに閉じ込められた神絵描きが、食後のドラゴンの舌の上で転がされ、水と共に食道の奥へと流される! カプセルの中から、二度と出られない暗闇へと落ちていく景色を眺めることになる神絵描き。次第に遠のく外の光。ぞくぞくするね。
ドラゴンの胃の中で、次第にとろけていくカプセル。次第に胃粘膜に直接もみくちゃにされて、神絵描きはすべてを諦めるしかなくなるんだなあ。だんだん遠のいていく意識の中、朦朧とした感覚で優しい暖みを感じて、心地よく眠りにつくわけよ。
絵の上手くなりたいドラゴンは、こういうサプリメントを毎晩食後に飲みつつ、絵がうまくなりたいなあと思って毎晩就寝するんだな。かわいいね。
早くこうなりたいよ。でも最近全然絵を描いてないので、もう少し先のことだね。